陶芸中心のラインナップから、ガラス作品も本格的に扱いたくなったのが約3年前。
ネットでひたすらガラス作家を探していると、息を飲む様な美しい作品に出会いました。
その作者の名前は大迫友紀さん。
数年前に金沢へ制作の拠点を移されてから身の回りで日々変化する自然風景の美しさに気付き、その事が自身の作品にも影響を及ぼしているとの事。
個人的見解としてはここ数年「美しさ」のみに焦点を絞った場合、自然美(宇宙、地球、生物)に敵う美しさは存在するか?という問いを日々自問自答していますが、現状ではそれは「存在しない」という結論に至っています。
故に、既存の制作物の影響下から生まれたものは、美しさの表層部をテクニカル的に表現する事まではできてもその深奥に迫る力を纏う事、また、観る者を飽きる事なく魅了し続ける事は困難なのでは、と感じているのです。
そして実は大迫さんにオファーしたのは、初めて作品をネット上で拝見してから1年後。
あまりの美しさと、その人気の高さを耳にしてオファーしても入荷までに2年以上はかかるだろうという読みから私らしくもなくいちファンとして目の保養ばかりしていました。
しかし通常、眼というものは慣れていくもので大概のものは見続けていくと初期の頃の感動は薄れ、別のものやより美しいものに惹かれ始めます。まるでもっと他に良いものはないかと探し始める様に。
その後、私も大迫さんへの熱を落ち着かせていた頃がありましたが、あるタイミングでまた久し振りにネット上で作品を拝見した際に、以前にも増してその美しさに私の感情が強く揺さぶられた事から1年越しでのオファー、その後2年待ち、ようやく入荷へと至りました。
さて、初見から1年も経つと私自身の眼も当時より更に見える様になっている筈で、更には「見慣れる」という人間ならでは習性もある中、その条件を前にしても大迫さんの作品は初見以上に輝いて見えたという事を私なりにひも解くと、大迫さんのセンスや技術力は前提として、制作の根幹に自然美への注視があるからではなかろうか、と感じるのです。
大迫さんの中で美しいの物のベースが自然美であるからこそ色を使う事も可能なガラスであまりそれを多用せず、加飾せず、フォルムバランス、削り、厚み、質感、そこに映しこむ光と影のみのシンプルな表現でも、飽く事なく観る者を感動させるのだと。
この度はインスタでの発信後、一瞬で完売してしまい私も少し動揺(もっと多くの方に御覧頂きたかった事に加え、いくつか手元に置いておきたかった…)しましたが、次回の入荷は1年以上先との事です。
個展をお願いしましたが超多忙につき現状では当面個展の開催は見合わせられている御様子だったので、先ずは次回の入荷を楽しみに待つ事とします。
略歴 大迫 友紀 オオサコユキ
1979年 生まれ 2002年 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科陶磁 卒業 2005年 富山ガラス造形研究所 卒業 2008年 金沢卯辰山工芸工房 修了
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