この度、御紹介する作品は馬場勝文氏の新作「白磁壷」。先日、工房で発見し妻が持って帰って来ました(妻よ、なかなか良い眼をしておる…)。

さて、この壷のどこに最初に目がいくかと言いますと、先ず「口」ですね。斜めになっているのがお分かり頂けますでしょうか?これ、実はロクロの理論上、とても難しい作業なのです。通常は水平に仕上がる口をここまで斜めに終わらせるテクニック。やはり馬場氏の陶技、ハンパじゃありません…汗。

次にボディ。重心がやや下部にかかる雫型。この膨らませ方と締め方、終わらせる高さと口のフォルムで、美しさが全く変わってきます。更に割としっかり残したロクロ目、そしてそれに掛ける釉薬の質と厚みの協奏により、何とも言えないふくよかな美しさをたたえています。

ちなみにロクロ目に関しては、釉掛け後のアウトラインを意識できなければ、ほぼ消えてしまうか強く出過ぎてくどくなるなど、そのさじ加減がとても難しいところです。

余談ですが私はよく「無理な線」という独自の表現を使うのですが、これは言い換えるとその線(部分的なフォルム)がある事で気持ちが悪いとか、バランスが悪いという意味で使います。ロクロ目を多く与えるという事はもちろんその「無理な線」を多く生み出す可能性を増やす訳です。

それでは本作はどうか?下から上までビッシリとロクロ目が入っています。しかし「無理な線」が全くありません。無いどころか、これにより乾燥する前の土の水々しさや、土がロクロに反発しようとする力強さが感じられ、まるで生きているかの様な生命感を感じさせてくれます。

ちなみに馬場氏はこの壷にだけそういう作業をしているかと言うと決してそうではなく、カップ、醤油差し、ピッチャーから鉢類まで、ロクロ作業の器には全て反映しておられます。

急須や耐熱系の人気がとてつもない状況となっておられる馬場氏ですが、これからはその他の器からも馬場氏の魂を感じ取って頂きたいので、久し振りに真面目に語らせて頂きました(笑)。ちなみにタタラ成型の器もセンス抜群なのでお忘れなく♪